Hallå! (スウェーデン語でこんにちは。英語のHelloです!)スウェーデンに引っ越して早9ヶ月が経ちました。相変わらずスウェーデン語学習と、仕事探しと友だちづくりに奮闘中のアラフォーです。
先日、ほぼ毎週行っているスウェーデン語の言語カフェで、こんな話になりました。
「今日は寒いけど季節は春。これからどんどんイベントも増えてくるし、自然の中を散歩するにもいい時期になってくるね。」
そこで、農家育ちで自然好きの主催者が、おすすめの自然スポットや、近場でこれから開催されるマーケットやアートイベントなどをホワイトボードに書き出しました。
「みんなでどこかに行けたらいいね。どれが一番気になる?」と、カフェメンバーのひとりひとりに聞いていき、予定を立て始めました。そこで決まったのが、自然を楽しむため Tåkern (トーケン/トーケルン※) と Omberg (オムべリ) という場所へ行くこと。2週間後に遠足開催決定!
「あたたかい格好をして、FIKA (フィーカ) とルンルン気分で来ることも忘れずにね」とのことでした。
というわけで今回は、このスウェーデンの自然を楽しむ日帰り旅のお話をしていきます。
※ 本ブログでは、スウェーデン語のカタカナ表記は基本的に『大阪大学出版会「スウェーデン語」語彙集第4.1 版』と、発音電子辞典『Forvo.com』(http://forvo.com/)を参考にしています。
車5台、全部で25人。さぁ出発!

私たちが懸念していたのは車。車社会とはいえ、全員が持っているわけでもないし、言語カフェのレギュラーメンバーで車を持っている人の何人かがこの日に限って予定があったりと、ボランティアで車を出してくれる人を探すのが少し大変でした。でもさすが顔の広い主催者。ちゃんと見つけてきてくれました。
また、この週は結構あたたかい日が続いていたのですが、遠足当日の週末は寒さが戻っていました。でもいいお天気だったので遠足日和だったかなと思います。
参加者は25人。国籍は、スウェーデン、ウクライナ、シリア、エリトリア、アフガニスタン、アルメニアと、私、日本でした。
Tåkern は鳥たちのパラダイス

スウェーデンの南東に位置する Östergötland (ウステルユートランド※1) 地方。このエリアでは、国内2番目の大きさを誇る全長135 km の縦長の湖 Vättern (ヴェッテン※2) が有名です。Tåkern は、そのほとりにある湖で大きさは約44平方キロメートル。「鳥たちの湖」と言われていて、これまでに合計で270種類以上の鳥が Tåkern で観測されています。湖の深さは80cmほどしかなく、ある鳥にとっては、くちばしでツンツンと食べ物を捉えるのにちょうどいい深さなんだと言います。
私たちが行った時は、白鳥がいました。あとは、カモメか、アヒルかガチョウか、、、すみません鳥に詳しくありません。教えてくれた人がいましたが、白鳥以外は忘れました笑。たくさんの鳥がいたのですが、私の古いスマホでは遠くの鳥たちをうまく撮影することができませんでした。
また、この湖のすぐそばにビジターセンターがあり、その建築デザインがまた美しい!かっこいい!バイキングの家を彷彿させるような感じでしたね。天井にはガラスが貼られていて、特に快晴だったこの日は光が綺麗に入ってきて施設内部も明るくて、気分が上がりました。スタッフのみなさんもとても感じがよく、ウェルカムムード満載。

鳥や、湖に生息する生き物、このエリアの森にいる動物などの情報が詰まったビジターセンター。顕微鏡で蝶々や昆虫なども見ることができます。また望遠鏡も置いてあって、寒くても望遠鏡を持っていなくても、建物の中から Tåkern を訪れた鳥たちを観察することができます。



ある時間になるとスタッフの1人が「これから Tåkern の紹介をします!」と訪問者を集めました。難しい単語もありましたが、おそらく子どもにも分かるような説明になっているのか、私たち言語カフェのメンバーにも大体のことが分かる内容でした。私の理解度はおそらく半分かな笑。





※1 Google map では日本語で「エステルイェータランド」と表示されています。
※2 Google map では日本語で「ベッテル湖」。
ランチでも FIKA と呼びたいスウェーデン人

Tåkern を楽しんだ私たち。もっと自然の中を歩いて回りたかったけれど、ここを満喫するには丸一日が必要とのこと。私たちはこれから FIKA もしなくてはならいし笑、もうひとつの目的地 Omberg があったので約1時間の滞在で再び車に乗り込みました。
Tåkern から約20分のドライブで Omberg に到着。この日は朝9時に集合していたので、お腹の空いた私たちは早速「FIKA (フィーカ) の時間でーす」と各自ランチパックを広げました。FIKA は、コーヒーや紅茶をケーキやクッキーなど甘いものと一緒にとる時間ですが、この時は時間的にランチ。みんなが持ってきたのはサンドイッチでした。また、事前に主催者からこういう話が出ていたのです。
「FIKA を長めにとることも大事。Språkcafe (言語カフェ) の遠足だしね。コーヒーと紅茶は用意するから食べ物は各自で用意してね。FIKA といっても時間的にサンドイッチなんかがいいと思う。」
ランチって言わないのね。ランチだけど言語カフェの遠足だし FIKA ってことにしたいのかなと、その単語が好きなスウェーデン人に、なんだかほっこりしたのでした。

私と一緒のグループにいたアフガニスタンのご夫婦は、カットしたキュウリとトマト、そして薄く焼いた牛肉のハンバーグに塩を振り、フラットブレッドに包んで食べていました。すでに具材を挟んでサンドイッチを持参していた私たちにはその工程と包む食材が大変興味深く、あるスウェーデン人が「それはお肉?」などと聞くとご夫婦は「食べてみる?」と親切に私たちに少しずつ分け与えてくれました。こちら旦那さんが年金暮らし(といっても受給額は高くない)、まだリタイアの年齢でなさそうな奥様は無職。生活が楽ではないはずなのに、お裾分けしてくれました。また宗教の関係で食事にも厳格なためか、こちらのご夫婦は、私たちメンバーが作ったものは一切口にしません。おそらく何を食材にしているか分からないし、いちいち細かく聞くのもお互い気まずく感じるからでしょう。フルーツのように調理されてないものなら手に取っています。

そんなことを考えていたら、食事制限なくいられるのをいいことに欲を丸出しにしてご夫婦から遠慮なくサンドイッチを分けていただいた自分を少し恥じました。しかしその一方で、相手からの好意を快く受け取るのも礼儀にあたる場合もあるかなとも思いました。同じ国出身の人どうしでさえ、お互いを知り合うのはそう簡単じゃないことが多い中、国が違い、文化も宗教もマナーも違う人たちとの交流は、この辺の判断が難しいなと感じることがあります。
Omberg から美しい景色を見渡せる

さて、腹ごしらえをしてエネルギー補給をした私たち。足腰、呼吸などに問題のある人以外は、急な坂道を登って展望台があるお山の頂上へ登りました。

この方角には何がある、あぁあそこはさっき行った Tåkern だね、などとみんなで話しながら美しい景色を堪能しました。「ここでサンドイッチ食べてもよかったね」と今回の遠足でよく一緒におしゃべりをしたウクライナ人と私はつぶやいたのでした。
この展望台からまた駐車場に戻って車で5分ほど走り、このエリアでたくさんある自然鑑賞スポットの一つ、また夏には海水浴スポットにもなるというところへ行きました。そこは「港」と呼ばれていますが、こぢんまりとしていて、小さな船着場というか、入り江と言ったらいいでしょうか。夏の観光シーズンはどうかわかりませんが、私たちが行った時はとても静かで、Vättern 湖の波打つ音だけが聞こえて癒されました。水もとっても綺麗!

ちなみに Omberg の “berg” は「山」という意味ですが、Om の部分は古い北欧語(古ノルド語)の “ama” (霧、煙の意味) から来ているそうです。「霧山」ってことですね。もし詳細をご存知の方がいらしたら、是非教えてくださいね!まだまだスウェーデン語や歴史、文化のことも勉強中です。
まとめ

今回は、スウェーデン語会話の練習だけではなく、車がないと行けないような場所へ行けて大満足でした。
おまけの話として、車をボランティアで出してくれたアルメニア人。とても親切で、帰りは私も同乗者も自宅や自宅付近まで送ってもらいました。スウェーデンでも恩返しをするのがマナーとなっていて、車を出してくれた人に「気持ち」としてスマホ経由でお金を送る人もいます。今回、同乗者の1人がそうしようとして運転手に電話番号を聞いたところ、「そんなつもりで運転したんじゃない、気持ちだけで十分だから(お金は)送らないで」と言われていました。この話を私のパートナーにしたら、私もお金を払うべきだったと。確かに。でも強く拒否していた時の会話を聞いていたら、今回は、ありがたく運転手のお言葉に甘えていいのかなと思いました。
色々な国からの移民がたくさんいるスウェーデン。いい人もいれば、残念ながらそうでない人もいる。正直、人を信用するのに時間がかかります。でも言語カフェで出会う人たちは、ほとんどの人が同じように一生懸命スウェーデン語を学び(挫折している人もいますが)、仕事探しにも苦労し、無職で生活が苦しい経験もしている、外国人ならではの生活の厳しさも知っています。だからこちらも安心して悩みを話すことができるし、失敗した経験も恥じることなく話せます。私のスウェーデン語が下手でも嫌がらずに分かろうとしてくれたり、言いたい単語が出てこない時に助け舟を出してくれたりします。まだ「友達」と言いきれる人は見つかっていませんが、毎週行きたくなる場所、会いたくなる人たちです。そのグループで、今回スウェーデンの自然を楽しめて本当にいい1日でした。
スウェーデンの自然散策、こっちに住んでいると定番のアクティビティの一つですが、おすすめです。みなさんも機会があったら是非スウェーデンの自然を探索してみてくださいね!