【読書感想文】『おばあちゃんの食器棚』稲垣早苗 (著)

アート&思考

Hallå! (スウェーデン語でこんにちは。英語のHelloです!)

現在はスウェーデン在住でスウェーデン語を勉強しながら日々奮闘しているアラフォーです。2022年のデンマーク暮らしから数えると、北欧生活が2026年の今年で5年目となり、海外生活者といってもまだまだひよっ子ですが、自分の人生では今が一番長く国外生活しています。

さて、ソーシャルメディアを見ていると、年末年始に日本へ一時帰国した海外在住の方々がいろいろと発信されていて、楽しそうでこちらも次回の一時帰国の想像が膨らみました。私は夏に一時帰国する傾向にありますが、2024年〜2025年の年末年始に2週間、一時帰国したこともあります。冬は冬で、夏にはあまりしないことができますよね。例えば、冬物の洋服を買ったり、さつまいもやおでん、カキフライを食べたりと。他にも一時帰国中の楽しみといえば、日本に住む家族、友人、知人に会うこともその一つではないでしょうか。

その年末年始にですが、私はどうしてもお会いしたい方がいました。本当ならばデンマークでお会いできたら、とも思ったのですが、私の都合がつかず断念。そこで一時帰国の予定を立てる際に、思い切ってその方にご連絡し、お会いすることが叶いました。その方とは、東京の日本橋浜町にある工藝ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」のオーナー、稲垣早苗さんです。

信じられないことに、稲垣さんが私のイラスト用インスタグラムアカウントを発見してくださり、メッセージまでくださいました。その時に私の昔の記憶がよみがえりました。かつて、当時はまだ少なかったデンマーク関連の書籍を買いあさり、または図書館で借りあさり、少しでももっとデンマークのことを知ろうと、いつかデンマークで暮らすことを夢見ていたときのこと。稲垣さんの著書『北欧の和み: デンマ-クの扉をあけて』という本にも出会いました。そしてヒナタノオトの存在も知り、「近いし行ってみようかな」と、当時、日本橋小舟町にあったお店に訪れたことがありました。とはいえ、まだ20代だった私は、素敵なハンドメイド作品が並ぶ静かな店内で、また稲垣さんの姿も存知あげなかったこともあり、「本を読みました」や「私もデンマークが好きで」などお声がけする勇気はなく、目の保養だけさせていただき静かにお店を出たのでした。。。

まさか、その稲垣さんと今、「デンマークへの想い入れがある」者同士として繋がることができるなんて。感動しました。現在はスウェーデンの絵も徐々に描くようになった私ですが、元々は、デンマークで見てきたシーンをこれまで自分が撮った写真を元にイラストにして、デンマーク通信を作ったりインスタグラムに投稿していました。それを稲垣さんが見てくださり、メッセージをくださったのです。デンマークでお会いできたらと思ったのは、稲垣さんが日本の工藝作家さんたちを連れ、デンマークのクリスマスマーケットに出店されたことがあったからでした。当時私はデンマークに住んでいたので、是非お伺いしたかったのですが自分の都合で叶わず、、、そこで日本一時帰国の際に、お声がけしようと決心したのでした。「デンマーク」という共通点がある、工藝品に以前から魅力を感じている、でも私はデンマークについても工藝についても特段詳しいわけではない、、、以前はそういう思いが勇気を持って行動に出ることに迷いを生んでしまっていたんです。でも私も少し大人になってコンプレックスや恥ずかしがりも克服できたのでしょうか笑。今度こそヒナタノオトで稲垣さんとお話ししようと、思い切ってご連絡をしました。お店は日本橋浜町に移転していました。かつて浜町で勤務したことがあった私は土地勘が少しあり、電動自転車で散歩するのが好きな父に声をかけ、一緒に自転車でお出かけし、お店にお邪魔しました。

明るい店内に、たくさんの素敵な工藝品。ヒナタノオトで選んだものをスウェーデンにいるパートナーの両親へのお土産にしようと決めました。彼の両親は、地元の作家さんが作ったアクセサリーや木製品、毛糸などを、大切に使う人たちだからです。稲垣さんとのご対面は緊張しましたが、終始ヒナタノオトでの時間を楽しく過ごさせていただきました。そして私が選んだ品を、とってもかわいく包んでくださったのです。

さてさて、長くなりましたが、今回のブログの本題。稲垣さんのもうひとつの著書『おばあちゃんの食器棚』を読んだ感想です。稲垣さんとのご対面がきっかけでこちらの読書が始まりました。いつもマイペースな私。約1年かけて、この2026年にようやく完読。少しずつ読んでいたのです。飛行機の中でも、電車の中でも、デンマークやスウェーデンの自宅でも。ヒナタノオトのショップカードをしおりにしていました。

本では、タイトルのとおり、「おばあちゃんの食器棚」にあるスープボウルやポット、お皿たちが、自分たちを生み出してくれた作り手たちのストーリーや想い、そしてその持ち主だったおばあちゃん・はるさんとの出会いについて語り出します。それは、お空に行ったはるさんとの思い出話をする家族のように。それぞれが短編なので、読書下手の私にはとても優しく、また器たちの上品な語り口調も相まって、ストレスフリーというよりも癒しの時間となっていました。

ものにストーリーが加わると、それはそのものを使う人の暮らしの一部となる。私はそう思います。正直、大量生産ではなく一点一点丁寧に愛情をこめて作られたものには、その分の価値が加わるので私のような庶民には、いつでも簡単に手に入れられるわけではありません。それは料理や絵画なんかも一緒だと思います。でも、特別な日にちょっといいレストランでお食事をしたいと思う人は少なくないですよね。そして大切な誰かのためにちょっと特別なプレゼントをしたいとも思ったり。私もそうです。ちょっと高価だけど、それを手に取ったときから自分とそのものとのストーリーが始まります。一度にたくさんは持てない。また人によって持てるモノの数は違う。でもひとつでも、ふたつでも、自分と自分が大切に思っているものとの間には、思い出深い物語があると思います。そんな温かい感情を思い出し、そしてはるさんの食器棚に集められた器たちのように、温もりを感じる一点ものやハンドメイドの品々を日々作っている作家さんたちがいること、それを手に取り笑顔になる人たちがいることに気付かされた一冊でした。

そして嬉しかったのは、この読書時間は時がゆっくり流れているように感じたことです。食器棚や食器棚があるダイニングにある品々の、やわらかい語り口調や、ものと人または人と人との出会いの思い出話に感じられたちょっぴりの切なさとたくさんの優しさ。そしてハッとさせられ読みながら自分のことを振り返ったりした表現もありました。作家さんについて語られたとき、私もそんな人になれたらなぁと憧れたり、なんだか私と似ているかもと共通点を発見できたりもしました。

日々の暮らしに使う品々に愛着がある方、丁寧な暮らしをおくっている方、またはそんな暮らし方に憧れている方、工藝品が好きな方、ものづくりをしている方などなどたくさんの方々におすすめしたい本です。表紙はもちろん、大野八生さんの挿絵もとても素敵で、挿絵と共に読んでいくと、頭の中でそれぞれの物語が豊かに広がっていきます。私も、絵を描きますが、こちらの本のようなイラストは憧れです。私には私なりの描き方しかできませんが、それでもいつか誰かが私の絵を見て喜んでくれるような未来を夢見ています。

最後に、今回の読書で響いた表現がいくつもありました。例えば「手が達者で、心が自由」だったり、「心が震えるようなことから遠くなってしまって」だったり、「たくさんの勉強をしたけれど(省略)たくさんの仕事や、たくさんの人に会ったつもりでいたけれど」だったり。それぞれの文章に感じたことは異なりますが、少し立ち止まって自分の大切なものを思い出すこともできました。

小学生の頃から読書感想文を書いたり、国語の問題を解いたりするのが苦手な私ですが、今回の読書感想文で誰かの心が少しでも動いたらいいなと思います。

◇『おばあちゃんの食器棚』など稲垣早苗さんの本
 ・ソラノノオト(ヒナタノオト オンラインストア)
  https://hinatanote.theshop.jp/categories/6531063
 ・Amazon
  https://amzn.asia/d/dpksMNe

◇ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」について
  https://musubuniwa.jp/?page_id=17

◇私のイラストにもご興味ありましたら是非♪
 ・イラスト用 Instagramアカウント
  https://www.instagram.com/ryokos_drawing/
 ・YouTubeも始めました♪
  https://www.youtube.com/@ryokos_drawing

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